父の携帯を買い替える - circulus-lacteus’s diary (hatenablog.com)
父の携帯を買い替える(2) - circulus-lacteus’s diary (hatenablog.com)
続きです。
携帯ショップに行った。
父が希望していた限りなくガラケーに近い携帯についての話を聞き、実物も触らせてもらった。
見た目も操作感もガラケーと同じように思えた。
通信費も、ほぼ変わらない。
機種が決まっていたので、とくに問題なく購入できた。
家に帰って、父に見せた。
父は、「こりゃええ」と喜んでいたのも束の間、
「メールを見るのはどうやればいいんじゃ」
「文字が小さくて見えん」
「音が聞こえん」
「ショートメールのやり方が違っとる」
「アラームはどうやればいいんじゃ」
「ストラップを通す穴がない。落としたら大変じゃ。」
「辞書はどうすれば出てくるんじゃ」
と、次々に言う。
わたしが操作したり、説明したりするのを、父は忘れないように紙にメモをとりながら聞いていたが、ついに「頭がごちゃごちゃになる」と言ってやめてしまった。
一度にやるのはやめて、1回5分くらいで、休み休み、少しずつやっていくことにした。
文字の大きさや、音量は、最大にすることで解決した。
ストラップの通し方も、検索すると丁寧にやり方が載っていた。
アラームは、新しい携帯だと音が聞こえないと言うので、当分の間、わたしが使っていたアナログの目覚まし時計(大音量になる)で済ませることにした。
辞書は、前の携帯の辞書が使えるそうなので、当分の間、それで済ませることにした。
しかし、メールの操作は忘れてしまうらしく、何度も尋ねられる。
いつも初めて聞いたように、何度も根気強く父に説明する。…これは、アドラー子育てでお稽古したのが役立っている。
父は努力を重ねて、5日くらいで、だんだん使いこなせるようになってきたようだが、
「胸に違和感を感じる」と言い、食欲は激減し、夜もあまり眠れなくなってしまった。
父にとって、新しい携帯電話に慣れるのは、予想以上のものすごいストレスのようだ。
訪問診療の先生がいらっしゃった日に、「胸の違和感」について診ていただいた。
肺炎の音はしないとおっしゃったので、少し安心した。
新しい携帯は、ワンプッシュダイヤルを登録できたので、わたしの携帯番号を登録したところ、夜9時ころに父から電話があった。
なにごとかと思って出ると、「メールのやり方がまたわからなくなった。」と言う。
わたしは9時からオンラインのミーティングだったので、「急ぎじゃなければ明日でもいいかな?」と聞くと、
「急ぎではないから、明日でよい。」と言う。そして「今度から、用事があるときは電話する。電話のほうが簡単じゃ。」と言う。
そうだね、メールが大変だったら、電話したらいいよ。あんまりがんばらないで。
…こういうことを繰り返しながら、父は携帯にやがて慣れていくことだろう。
人生は続く。
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