父の携帯を買い替える(3)

父の携帯を買い替える - circulus-lacteus’s diary (hatenablog.com)

父の携帯を買い替える(2) - circulus-lacteus’s diary (hatenablog.com)

 

続きです。

携帯ショップに行った。

父が希望していた限りなくガラケーに近い携帯についての話を聞き、実物も触らせてもらった。

見た目も操作感もガラケーと同じように思えた。

通信費も、ほぼ変わらない。

機種が決まっていたので、とくに問題なく購入できた。

 

家に帰って、父に見せた。

父は、「こりゃええ」と喜んでいたのも束の間、

「メールを見るのはどうやればいいんじゃ」

「文字が小さくて見えん」

「音が聞こえん」

「ショートメールのやり方が違っとる」

「アラームはどうやればいいんじゃ」

「ストラップを通す穴がない。落としたら大変じゃ。」

「辞書はどうすれば出てくるんじゃ」

と、次々に言う。

わたしが操作したり、説明したりするのを、父は忘れないように紙にメモをとりながら聞いていたが、ついに「頭がごちゃごちゃになる」と言ってやめてしまった。

一度にやるのはやめて、1回5分くらいで、休み休み、少しずつやっていくことにした。

 

文字の大きさや、音量は、最大にすることで解決した。

ストラップの通し方も、検索すると丁寧にやり方が載っていた。

アラームは、新しい携帯だと音が聞こえないと言うので、当分の間、わたしが使っていたアナログの目覚まし時計(大音量になる)で済ませることにした。

辞書は、前の携帯の辞書が使えるそうなので、当分の間、それで済ませることにした。

 

しかし、メールの操作は忘れてしまうらしく、何度も尋ねられる。

いつも初めて聞いたように、何度も根気強く父に説明する。…これは、アドラー子育てでお稽古したのが役立っている。

父は努力を重ねて、5日くらいで、だんだん使いこなせるようになってきたようだが、

「胸に違和感を感じる」と言い、食欲は激減し、夜もあまり眠れなくなってしまった。

父にとって、新しい携帯電話に慣れるのは、予想以上のものすごいストレスのようだ。

 

訪問診療の先生がいらっしゃった日に、「胸の違和感」について診ていただいた。

肺炎の音はしないとおっしゃったので、少し安心した。

 

新しい携帯は、ワンプッシュダイヤルを登録できたので、わたしの携帯番号を登録したところ、夜9時ころに父から電話があった。

なにごとかと思って出ると、「メールのやり方がまたわからなくなった。」と言う。

わたしは9時からオンラインのミーティングだったので、「急ぎじゃなければ明日でもいいかな?」と聞くと、

「急ぎではないから、明日でよい。」と言う。そして「今度から、用事があるときは電話する。電話のほうが簡単じゃ。」と言う。

そうだね、メールが大変だったら、電話したらいいよ。あんまりがんばらないで。

 

…こういうことを繰り返しながら、父は携帯にやがて慣れていくことだろう。

 

人生は続く。

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