友、遠方よりきたる

昨年の8月末に父が退院して在宅介護に入って以来、わたしは自宅から10キロ圏内で暮らすことに決めた。

それまで仕事や勉強や遊びであちこち飛び回っていたが、父の在宅介護を支えるために、自身で限界を設定した。

自宅から10キロ圏内だと、父に何かあっても、災害などが起きても、なんとか対処できるギリギリの距離だとも考えた。…きっちりとした根拠があるわけではないが、勝手にそう考えたw

 

そんなわたしのところへ、遠方に住む30年来の友人たちが、はるばるやってきてくれた。

ありがたい。

父の介護のスキマ時間に、近所のイタリアンレストランで、パスタやデザートやワイン!をいただきながら、楽しい時間を過ごした。

 

アドラー心理学の学びをともにし、ともに仕事もし、そして、ともに遊んだ、気心の知れた友人たちだ。

話は尽きない。

「あれのこと?」「ううん、あれじゃなくて…」「ああ、あっちね?」「そうそう」と、代名詞で十分に通じる「阿吽の呼吸」の会話ができる…といえば聞こえがよいが、固有名詞を思い出せない老人的会話なわけで、それが可笑しくもあり、愛おしかった。

 

話題は、アドラー心理学の治療共同体の話に及んだ。

治療共同体とは、アドラー心理学の理論・思想・技法にもとづく共通言語と雰囲気を共有する人々のネットワークだ。

カウンセラーもクライエントも、リーダーもメンバーも、指導者の先生方もみな、治療共同体のネットワークに属している。

よくアドラー心理学は、スポーツなどの稽古事のようだと例えられる。

アドラー心理学はひとりでは学べない。

学びの体得を支えるのは、やはり自助グループがベースとして機能している治療共同体の力だ。

治療共同体に所属していて、ほんとうによかった。

…などと話に花が咲いた。

たいへん楽しくて有意義でありがたい、梅雨の晴れ間のスキマ時間だった。