忘れているのかもしれない

まんなか辺り - circulus-lacteus’s diary (hatenablog.com)

 

昨年10月から、父の薬の管理は、父が自分でやりたいと言うので、お任せしていた。

父にとって、貢献感があるのだと思って、よろこんでいた。

が、最近、薬がだぶついてきていて、おかしなことになっていると、父は言う。。

 

内科と皮膚科で、11種類の薬をもらっていることに合わせて、災害時のときの予備も取っておかなければならないので、たしかに管理は大変だと思う。

主治医や薬剤師さんが、「お薬の1包化といって、服用のタイミングが同じ薬を合わせて、朝・昼・夕と1袋ずつにパックすることができますよ。」と言ってくださるが、

父の流儀に反するのか、父は「ええです。だいじょうぶです。」とキッパリことわっている。

 

そして、薬がだぶついている今の状態を、父は、「処方箋が間違っておるからこうなるんじゃ。言ってやらんといけん。」と、処方箋のせいにして怒っているw。

これは手伝う必要があると思った。

 

そこで、「よかったら手伝わせてもらいたいんだけど、どうかなあ?」と聞いてみた。

父は「よかろう。」と言う。

 

手伝うために、まずは、父が今どのように薬を管理しているのか聞いてみた。

聞くだけでは、さっぱりわからなかったw

そこで、薬を持ってきて、一緒に数えながら、父がどうやって薬の管理をしているか、ひとつひとつ手順を追って聞きながら、父の頭の中を見える化して、在庫管理表(案)を作ってみた。

この在庫管理表(案)を、父は気に入ってくれたようだ。

これでやってみて、不具合があれば改善していこう!となった。

 

 

在庫管理表を作るプロセスで、ふたつのことがわかった。

どちらも、短期記憶の低下によるものだ。

 

ひとつは、前月や前々月の薬がまだ残っているのに、忘れてしまって、その残数を計算に入れずに薬をもらっていること。

これは、在庫管理表に、前月や前々月の欄を作ることにした。

わたしも毎回父と一緒に確認することを、父がOKしてくれたので、これで、たぶんうまくいくだろう。

 

もうひとつは、父が、2種類毎日飲むはずの血圧の薬を、昨年末くらいから、1種類やめていることがわかったw。

その理由は「1種類でええからじゃ。」

…と言う。。。わからんw

 

「2種類の血圧の薬は、それぞれ作用が違うので、1種類だけ飲むのだと、よくないんじゃないかな?」と言うと、

父は、「そんな難しいことを言われても、わからん。これでいいんじゃ。」と言う。

 

処方箋では、通常の数が出ているのに、父のこの個性的な?飲み方によって、お薬が余るということがわかった。

 

…そういえば、昨年11月か12月に、主治医の先生が父に、「この2種類の血圧のお薬をひとつにまとめましょうかね。」とおっしゃった場面を思い出した。

父は、なぜか、「いや、このままでええです。」と即答していた。

そして、2種類の薬をもらいながら、この個性的?な薬の飲み方に至っている。

 

父は、<自分が決める>人だ。

それは、父が父らしくいるために大事にしたいことだと思う。

もともと父は、よく調べたり、周囲と相談したりした上で、穏やかに<自分が決める>をやっていた。

だが、95歳の今の父は、唐突に、しかも脈絡なく、<自分が決める>人になっているようにわたしには見えて、戸惑う。

 

戸惑いながら、父に、「前に先生が血圧のお薬を、ひとつにまとめましょう、とおっしゃって、お父さんは断っていたけど、いまはどう考えてるの?」と聞いてみた。

父は「そうじゃったか」と遠い目をしていた。

どうやら父は、先生のお話を忘れてしまっているようだ。

 

このときわたしは、父が、言葉は通じるのだけど、判断材料になる記憶や、人々と共有している記憶を忘れてしまっているのだ、ということに気づいた。

やっと、気づいた。

これから、「唐突だ」「脈絡がない」と思ったときには、忘れているのかもしれないと思って話を聴くことにしよう。

そうすれば、わたしは、父が<自分が決める>ときの、いくらかの補助役になれるかもしれない。

 

父に「先生にお薬をひとつにまとめてもらうことでも、このままでも、わたしはどっちでもいいと思うけど、どうする?」と聞いてみると、

「ひとつにまとめてもらうことにしようかの」と言う。

 

…これで、お薬問題がスッキリするとよいのだが…。

今回こうして父と話したことも、父は忘れてしまうかもしれないが(笑)、

父への理解が、昨日より少し進んで、わたしにできることが見えて、よかったと思う。