競合から協力へ

10月のオンラインでのアドラー英語読書会は、

Eva Dreikurs『Adlerian Theory :An Introduction 』(対訳版『エヴァ・ドライカース『アドラー心理学へのいざない』大竹優子・河内博子訳)の55ページを読んでいった。

ライフスタイルを理解するために、アドラー派はさまざま技法を開発してきた、ということについて書かれている。

ドライカースは、早期回想や個人の家族布置を使うことがライフスタイル分析の基本と考えたそうだが、このページではほかの技法についても言及されていた。

Other techniques, such as dream interpretation , art therapy, and psychodrama, provide very useful diagnostic information. Although these latter techniques are more likely to reveal short-term goals rather than the long-term goal of the Life Style, under the guidance of skilled Adlerians these techniques have been found to be extremely valiable. (p55)

ほかの技法、例えば夢の解釈や、アートセラピー、それに心理劇は大変有用な治療的情報を提供してくれます。これらの後者の技法は、どちらかというとライフスタイルの長期的目標よりは短期的目標を明らかにする傾向がありますが、熟練したアドレリアンの指導下なら、これらの技法も大変価値があることが知られています。

というように書かれている。

今回の読書会では、アートセラピーについてのディスカッションがふくらんでいったのが、おもしろかった。

読書会のメンバーに、今年のICASSI (ドライカース・サマーセミナー)で、ドイツ人の熟練したアドレリアンの先生によるアートセラピーを体験なさった方がおられ、

その体験をシェアしてくださったのだが、深く学ばれたのだと思った。

ある場合には、言葉を使わない技法によって、深い学びを得ることがあると思う。

 

言葉も、<よごと>を使えるように精進したいと思う。

まだ伸びしろがあると信じて…。

<よごと>とは良い言葉のことだ。

良い言葉、つまり<よごと>でもって語ると、<もの>は良い<こと>になり、悪い言葉、つまり<まがごと>でもって語ると、<もの>は悪い<こと>になる。つまり言葉には<ことだま>があって、<よごと>で語るか<まがごと>で語るかで、世界が変わってくる。(『野田俊作補正項』2011年3月18日)

と野田先生が書かれている。

どんなに美しい言葉でも、構えが競合的だと、それは<まがごと>になる。

人は全体でコミュニケーションするので、わたしが美しい言葉を使っても、わたしの構えが競合的だと、その競合性は相手にちゃんと伝わる。

ではどうするか?

練習を積み重ねたアドレリアンとともにエピソード分析をして、仮想的目標を言語化すると、自分が競合的だということがわかる。

あまりにくっきりハッキリわかるので、思わず笑ってしまうw

仮想的目標は、エヴァ・ドライカースが言うところの「short-term goals ( 短期的目標)」だと思う。

そして、エピソード分析を進めると、「競合」の中から「協力」の部分が掘り出される。…練習を積み重ねたアドレリアンとともにやると、「競合」の中から、かならず「協力」が掘り出される。

こうして、協力的な構えで、つまり<よごと>を語って生きていくためには、自分の競合性と向き合うことからスタートする。

…そんなことを考えた読書会だった。

 

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11月11日(土)・12日(日)・25日(土)・26日(日)に、横浜で、アドラー心理学基礎講座理論編があります。

アドラー心理学の真髄が学べます。

講師は、『Adlerian Theory :An Introduction (アドラー心理学へのいざない)』を翻訳なさった大竹優子先生です。

アドラー心理学基礎講座理論編を開発なさった野田俊作先生は、この講座について、「いろんな形でアドラー心理学を実践してきた人たちが、アドラー心理学の根本哲学をまとめなおすために受けられるのが、いちばんいい。」と述べておられます。

お問合・お申込み、info@adler.or.jp (野田俊作顕彰財団 Adler Institute Japan )まで。