訪問歯科

年末12月21日にケアマネさんがいらしたとき、父が「奥歯が痛かったが、カロナール300を飲んだら治った。」と言った。

ケアマネさんは、「年末年始に痛くならないように、訪問歯科の先生に来てくださるように手配しましょうか?痛くて、ごはんが食べられなくなるということもありますよ。」と言ってくださったが、

父は「もう治りましたから、ええです。」と言った。

父は96歳で全部自分の歯だということが誇りで、歯医者さんとはご縁がなく暮らしている。

この日はそれで終わったのだが…、

 

26日になって、父が「前歯が抜けてしもうた。歯医者さんに来てもらいたい。奥歯も痛くなったら大変じゃ。」と言う。

急に誇りが崩れたようだw

見ると、前歯が抜けているのではなく、前歯のとなりの歯が半分ほど欠けてしまっていた。

父としては、けっこうショックだったようだ。

前歯が欠けるのは、山口弁で「ふうが悪い(格好が悪い)」のだw

年末押し迫って、もう年内には歯医者には来てもらえないのではと思いながら、ケアマネさんに相談したら、なんと年内に来てくださる歯医者さんを探してくださった。

ほんとうに、父のケアマネさんには感謝しかない。

 

歯医者さんは、おばさま女医先生だった。父の口の中を見てくださり、3本問題の歯があるとおっしゃった。

年末で予約がつまっていて、父の診療にあまりたくさんの時間がとれないということで、さしあたっての応急処置をしてくださった。

本格的な治療は年明けから始めましょう、ということになった。

 

そして今日、本格的な治療が始まった。

なんと、ポータブルレントゲンがあるのだ!

女医先生は、歯科衛生士のお姉さんとふたりがかりで、父の歯のレントゲンを撮って、洗面所で現像をなさった。

女医先生が洗面所で現像されている間、歯科衛生士のお姉さんが父の歯を数種の歯間ブラシを使ってきれいにしてくださった。

レントゲンの結果にもとづいて、女医先生が今後の治療の説明をしてくださった。

3本治療が必要な歯がある、歯槽膿漏の治療も必要だと、父に聞こえるように、父の耳元で、大きな声で、丁寧に説明してくださった。

 

父は突然「あなたがたは、よく勉強されとる。」と言ったw

上から目線健在だが、父としては、一生懸命に感謝を伝えているのだと思ったw

女医先生はなんと答えていいのかちょっと困ったような顔をされ黙っておられたが、歯科衛生士のお姉さんは「はい!勉強していますよ!」と元気よく言ってくださった。

父は何度も「あなたがたは、よく勉強されとる。」と言っていた。

 

今日は欠けた前歯にお薬をつめる治療をしてもらったのだが、父は何度も「奥歯はやらんのですか?」と言う。

女医先生はその度に「一度にできませんから、今日は前歯をやりますね。来週また来ますから、奥歯は来週やります。」と答えてくださっていた。

わたしが「何度も同じことを言ってすみません」とそっと言うと、女医先生も歯科衛生士のお姉さんも、「かまいませんよ~」と言ってくださり、父に何度も「歯がしっかりされていますね~。お手入れがよいのですね~。これからも今までのように歯磨きしてくださいね~」などと言ってくださって、父は崩れた誇りがすっかり持ち直して、「そうじゃそうじゃ」と上機嫌だったw

 

たくさんの歯科治療用の荷物を広げて撤収する時間も含めて、滞在時間は50分ほどだった。

これからしばらく、毎週お世話になる。

 

いつかわたしもお世話になる日がくるのかもしれないが、今回も、日本の在宅医療はすごいなあと思ったのだった。