転倒その後

訪問リハビリの理学療法士さんがいらしたとき、父が夜中に転倒したことを、父と一緒に相談した。

理学療法士さんからアドバイスをもらって、父は、寝室でこれまでよりもとても楽に用を足せるようになったと喜んでいる。

 

ただ、相談前は、父は寝室での動線がこれまでと変わることに抵抗があったようだ。理学療法士さんは、たぶん、以前にも父に提案してみたのだろう、「え、変えてもいいんですか?」と尋ねられた。

 

今の父は、馴れていることを変えることをとても嫌がる。

わたしも、極力父の希望に沿った手伝いをしたいが、より良い方法がある場合は、悩むところである。

こういうとき、わたしの課題として、父にお願いしてみる。もしNOと言われたら、引き下がる勇気をもって。

「お父さんは大丈夫と思うけど、わたしが心配なんだー。リハビリの先生に相談してもいいかな?」と言うと、このとき父は「よかろう」と言ってくれた。

 

理学療法士さんは、ポータブルトイレをベッドの真横にぴったりくっつけて、ベッドと平行に置き、ポータブルトイレの前に手すりを設置することを提案してくださって、実際に動かしてくださった。

父は、「ほう、ええかもしれん」と、提案を採用してみることにした。

 

これまでは、ポータブルトイレはベッドに垂直に置いてあって、ベッドからポータブルトイレまで50センチくらいの間があったので、ベッドから一度立ち上がって、1歩2歩歩いてポータブルトイレに移動しなくてはならなかった。

ベットとトイレは密着していないほうが清潔に暮らせる、などという気分的な思いがあったのだが、その50センチの隙間で夜中に転倒してしまったので、そんなことを言っている場合ではない。

 

今は、ベッドに座ったままポータブルトイレに移動できるので、たいへん楽だそうだ。ポータブルトイレの目の前に手すりがあるのも心強い。手洗い手拭きもポータブルトイレに座ったままできるようになった。

 

父は、「これはええなあ」「変えてよかった」と言っている。

これでも転倒するときはするのだろうが、さしあたって父が楽になったので、よかったよかった。