今年は、ゆったんが七五三だ。
ゆったんのお父さんが育った地元の神社にお参りするので、着物と小物を次女宅へ送った。
この茄子紺の着物は、わたしの母方の祖母が、娘時代(明治の終わり~大正時代)に、「よそ行き」で着た着物だ。
きれいに保管されていて、長女が七五三のとき、母の意向で、三歳用に仕立て直してもらった。
母方の祖母は、母が10歳くらいのときに亡くなった。
なのでこの着物は、母にとっては、母親の形見だ。
母としては、この大切な形見を、七五三の着物に仕立て直すと、ずっと役立てると思ったのではあるまいか。
着物を仕立て直してくれたのは、祖母亡き後、後妻に入って、母はじめ6人の子どもを育てあげた、わたしにとっては親しみのある、もうひとりの母方の祖母だ。
母は、6人きょうだいのなかの、唯一女の子だったので、後妻に入ってくれた祖母の手伝いをたくさんしたと言う。
母は「ほんとうの親子じゃないから遠慮もあるんだけどね…」と言いながら、それが”親しき仲にも礼儀あり”に作用していたようで、わたしには仲良し母娘に見えていた。
よく考えると、大正時代が1912年~なので、100年以上経っている着物だ。
わたしには着物の価値はよくわからない。
古ぼったい色と柄なのかもしれない。
ただ、わたしにとっては価値のあるものだ。
母と、祖母たちの、思い出がつまっている。
娘たちも、この着物とこの着物をめぐる物語が好きで、喜んで着てくれた。
孫の七五三の着物にも選んでくれた。
できれば、次の曾孫の世代でも、親しく語り継がれ、喜んで受け継がれると嬉しいなと思っている。
ゆったんとあーくん。
あーくんが歩いたり走ったりが上手になり、きょうだいで、おててを繋いで歩けるようになった。